
何か暗記に役立つ学習ツールはありますか?
いわゆる「暗記カード」は、改めて見直されるべき学習ツールだと思います。
何度でも書きますが、勉強の奥義とは復習です。
そして記憶の定着には、勉強した内容を思い出す「自己テスト学習」や、間隔をあけて復習する「分散学習」、関連性のある内容を混ぜ合わせて勉強する「インターリーブ学習」が有効です。
暗記カードがあれば、すきま時間に分散して自己テストができ、ランダムに混ぜて復習することも手軽にできます。
むしろ近年の学習理論を知るほど、暗記カードこそが最強のインプットツールだと思えます。
そこで今回は、暗記カードを上手に導入する方法を考察します。
01 暗記カードの作成を仕組化する

暗記カードってカードを作るのが大変なんですよね…
暗記カードを利用する上での最大の障壁は、言うまでもなくいちいちカードを作るのが面倒だということです。
また、暗記カードを作る行為自体は勉強ではなく作業ですから、「その時間で1つでも多くの単語を憶える努力をした方がいい」という主張にも一理あります。
実際には暗記カードを作ることには目先の時間を惜しむ以上のアドバンテージがあると思っていますが、いずれにせよ暗記カードの作成部分をうまく仕組化できるかどうかが鍵になるのは間違いないでしょう。
仕組化のポイント:問題演習とカード作成をつなげる
暗記カードの作成を仕組化する上でのポイントは、日々の問題演習の過程に、カード作成をシームレスに組み込むことです。
具体的には、問題集を解いて答え合わせをしたら、間違えた箇所の解説を読んで、その論点を設問に加工してすぐに暗記カードにまとめます。
こうして記憶が不十分だった論点を暗記カードにまとめるところまでが問題演習と考えれば、暗記カードの作成が日々の勉強から分離することがありません。
暗記カードが弱点ノートになる
こうして積み重ねられていく暗記カードには自分の弱点だけが抽出されることになります。
つまり、「まとめノート」の役割も果たすわけです。
そして、日々のすきま時間に分散して繰り返し自己テストをすることで、弱点は確実に補強されていくことになるでしょう。
時間を味方につける「記憶の資産」
こうして積み重なっていく暗記カードは、いわば時間を味方につけるストック型の資産です。
「1つでも多くの単語を憶える努力」は忘却によって水泡に帰すこともありますが、作ったカードは確実に形として残ります。
適切に仕組化された暗記カードは、手間を惜しまずコツコツと積み上げてきた者だけが手にすることができる、強力なオリジナルインプットツールなのです。
- 暗記カードの作成は、問題演習とつなげることで自然に仕組化できる。
- 間違えた論点をカードにまとめると、弱点ノートとして機能する。
- 積み重ねたカードは、時間を味方につける記憶の資産になる。
02 暗記アプリでスマホをインプットツールに変える

暗記アプリってどうですか?
近年はスマホで使える暗記アプリも非常に充実しています。
今から暗記カードを使い始めるなら、暗記アプリを利用する方が断然便利でしょう。
スマホがいつでも学習できる道具になる
暗記アプリを使う最大の利点は、スマホさえあればいつでもインプット学習ができるという点です。
スマホだけは肌身離さず持ち歩くという人は多いでしょうし、思い立ったらすぐにスマホを取り出してスタートでき、都合によっていつでも中断できるという気軽さは、インプットツールとして非常に優れた特性です。
すきま時間についついスマホでYouTubeやSNSを見てしまうと悩んでいる人も、スマホをインプットツールとして上書きすることで、かえってその時間を減らすことができるかもしれません。
カード作成の手間を省き、音声も活用できる
暗記アプリでは、カードを手書きで作成する手間が省けます。
大学受験や英語学習などの成熟した受験市場であれば、単語帳や一問一答問題集をダウンロードできることもあり、その場合は自分でカードを作る必要さえありません。
外国語学習の場合、音声データを活用できる点も魅力のひとつといえるでしょう。
復習タイミングも最適化できる
よくできた暗記アプリには、エビングハウスの忘却曲線などの分散効果に基づいて、復習のタイミングを最適化してくれる機能も備わっています。
こうした機能は、効率よく記憶を定着させるための仕組みとして有効です。
つまり、アプリを使うことで、記憶の管理そのものが自動化されるわけです。
- 暗記アプリを使うことで、すきま時間がインプット学習につながる。
- カード作成の手間を減らし、音声や既存データも活用できるようになる。
- 復習タイミングの最適化によって、記憶の管理が自動化できる。
03 分散学習アプリ「Anki」

でも、どのアプリを選んだらいいんだろう?
数ある暗記アプリの中でも、特に医学生や司法資格受験者の間で評価の高いアプリが「Anki」です。
自分で入力した問題データを、記憶の定着度に応じて適切なタイミングで出題してくれるため、膨大な知識を細かく穴埋めしていく必要がある学習に適しています。
PCで作成→スマホで活用できる
Ankiの最大の特長は、PC版アプリで問題データを作成し、スマホ版と同期できることです。
大量の問題データを入力する場合は、やはりPCの方が断然効率的ですから、この点は重要な機能になります。
また、問題データの自由度が非常に高く、文字数やスペースに制限はありませんし、画像・音声・動画を含めることもできます。
特に「スペースを無限に使える」というのは、デジタル特有の長所です。
一見、紙に手書きする方が自由度は高いように思えますが、紙にはどうしてもスペースの限界があります。
例えば、長々とした条文や文章を丸写ししたい時などは、この点が大きなストレスになります。
それがデジタルなら、どんな長い条文でもネットで検索してコピペして終わり。
問題データ作成の効率は、紙とは比べものになりません。
iOS版は有料でも時間の価値を考えれば…
欠点として、AnkiのPC版とAndroid版は無料で使えますが、iOS版は有料です。
2025年9月現在4,000円と、それなりに躊躇する金額ではあります。
しかし、サブスク課金ではなく買い切りですし、一生使えるインプットツールとしては、それほど高い買い物ではないでしょう。
課金を惜しんで、貴重なすきま時間を無為に過ごしている。
その機会損失の方が、よほどもったいないように思います。
- Ankiは、記憶の定着度に応じて復習タイミングを調整できる。
- PCで作成した問題データをスマホで活用することができる。
- デジタルの自由度によって、長文や音声も効率よく扱えるようになる。
灯さんノート:暗記ツールまとめ

ここまで読んでくださってありがとうございます。
暗記カードは、記憶のしくみを味方につける最強のインプットツールです。
最後に、この記事のポイントをまとめておきます。
このノートを見返しながら、自分専用の記憶資産を育てていきましょう!
- 暗記カードは「自己テスト」「分散学習」「インターリーブ学習」を自然に実践できる。
- 問題演習と連動させることで、カード作成は仕組み化できる。
- 暗記アプリを使えば、すきま時間に復習でき、記憶管理も自動化できる。
- 積み重ねたカードは、時間を味方につける記憶の資産になる。
まとめ:自分専用のインプットツールを作ろう
今回は、暗記カードの導入法について考察してきました。
暗記カードを使えば、「自己テスト学習」「分散学習」「インターリーブ学習」といった、効果の高い学習法が自然に実践できます。
すきま時間の勉強効率も、一気に跳ね上がるはずです。
最大の課題は、カード作成の手間をどう乗り越えるかですが、これも工夫次第。
上手にカード作成を仕組化できれば、自分専用の強力なインプットツールが完成します。
ぜひ日々の勉強に活用してみてください。

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