
どうすれば試験に合格することができますか?
試験に合格するために一番大切なのは「戦略」です。
正しい戦略で正しい道筋を進めれば、最短距離で合格できます。
しかし、間違った方向に進んでしまえば、時間も努力も無駄になってしまいます。
特に、仕事と勉強を両立させたい兼業受験生にとっては、勉強に費やせる時間が限られているからこそ、戦略の重要性はさらに高まります。
本記事では、試験に合格するための「戦略」について考察します。
この文章を読むことで、限られた時間でも合格に近づくための「正しい戦略」の考え方と、その第一歩を踏み出す視点が得られます。
01 戦略とは何か:合格への道筋を描く

そもそも戦略って何ですか?
試験勉強における「戦略」とは、目標達成に向けた道筋の設計です。
経営学者であり「戦略の大家」と呼ばれるリチャード・P・ルメルトは、著書『良い戦略、悪い戦略』の中で、良い戦略には「カーネル(核)」があると述べています。
良い戦略には、しっかりした論理構造がある。私はこれを「カーネル(核)」と呼んでいる。戦略のカーネルは、診断、基本方針、行動の三つの要素で構成される。状況を診断して問題点を明らかにし、それにどう対処するかを基本方針として示す。これは道しるべのようなもので、方向は示すが細かい道順は教えない。この基本方針の下で意思統一を図り、リソースを投入し、一貫した行動をとる。
(リチャード・P・ルメルト『良い戦略、悪い戦略』)

戦略って、なんだか難しそうですね。
勉強にどう関係するんでしょうか?
この理論を試験勉強に応用するなら、次のように整理できます。
戦略は、分析によって導き出され、行動によって完成します。
そしてこの戦略こそが、合格への道筋を描く「地図」になるのです。
- 戦略とは「目標達成に向けた道筋」である。
- 良い戦略には「診断・基本方針・行動」の3要素がある。
- 試験勉強における戦略は、分析によって導き出され、行動によって完成する。
02 診断:試験を分析して合格に必要なことを見極める

まったくゼロからのスタートなんですけど、
試験の分析ってどうしたらいいんですか?
戦略の第一歩は「診断」です。
「彼を知り己を知れば百戦危うからず」と孫子の兵法にあるように、正しい戦略を考えるためには、まず状況をよく知ることが大切です。
ここでは、初心者でも無理なく取り組める診断の方法を3つ紹介します。
受験案内を読む
まずは、試験の基本情報を正確に把握しましょう。
試験日・科目・配点・合格基準などは、すべて「受験案内」に記載されています。
試験というのは「指定された科目で、指定された日までに、合格点をクリアするゲーム」です。
そのルールを知らずに挑んでも、まともにクリアできるはずがありません。
今すぐ「〇〇試験 受験案内」で検索し、PDFをダウンロードしておきましょう。
過去問に目を通す
多くの試験では、過去数回分の試験問題もネットで入手することができます。
過去問というのは、出題者が期待する学力水準の集積であり、超えなければならないハードルそのものです。
試験を知るという意味では最高の素材でしょう。
資格試験の場合、学力はほぼゼロから始まるので、いきなり問題を解いたり出題傾向を把握したりするのは、まず不可能だと思います。
が、それでも最初に過去問に触れておくことには意義があります。
問題を読んで、「こんな難しい問題を解けるようにならなきゃいけないんだ」とか「これならまあまあ何とかなりそう」とか、自分の立ち位置をしっかり確認しておきましょう。
そのうえで、まずは過去問の内容が理解できるように勉強を進めていくことが、入門レベルの課題になるでしょう。
合格者の体験記を参考にする
初心者がいきなり試験を分析するのは難しいもの。
そこで頼りになるのが、合格者の体験記です。
先ほど試験は「試験日までに合格点をクリアするゲーム」だと書きました。
合格者というのはこのゲームをクリアした人たちです。
当然、ラスボス(本試験)がどんな敵かも知っていますし、道中でレベルを上げていく方法(勉強法)や、そのために有効な武器(教科書・問題集)も知っています。
こうした攻略法を利用しない手はありません。
ネットで「〇〇試験 合格体験記」と検索し、複数の声に触れてみましょう。
- 戦略の第一歩は「診断」である。
- 試験の構造を知るには、受験案内・過去問・体験記が有効。
- 自分の立ち位置を確認することで、学習の方向性が定まる。
03 基本方針:必要な教材を選び、勉強の方向性を絞る

受験案内・過去問・体験談を読んだら、
次は何をしましょうか?
診断によって試験の構造が見えてきたら、次は「基本方針」を定める段階です。
戦略のカーネルにおいて、基本方針とは「問題点にどう対処するか」という方向性の提示。
これは、勉強の軸を決める作業でもあります。
ここでは次の3つの軸を意識するといいでしょう。
信頼できる教材を選ぶ
まずは、信頼できる教材を選ぶことが基本方針の第一歩です。
とはいえ、初心者が最初から最適な教材を選ぶのは難しいもの。
教材選びに迷ったときは、合格者が実際に使っていたものを参考にするのが確実です。
実績のある教材には、合格に必要な情報が過不足なく整理されており、安心して使い込むことができます。
また、教材は「読むもの」ではなく「使い倒すもの」です。
自分の手に馴染み、繰り返し活用できると感じるものを選ぶことで、勉強の軸がぶれず、記憶の定着も進みやすくなります。
詳細な選び方については、別記事でじっくり考察します。
選択と集中:基礎に全力投入する
次に意識したいのは、「選択と集中」です。
試験の本質は、応用力や奇抜な発想ではなく、基礎の完成度で決まります。
どんなに難しい問題も、突き詰めれば教科書レベルの知識と理解の積み重ねです。
だからこそ、まずは基礎に全力を注ぐことが、合格への最短ルートになります。
具体的には、教科書に書かれている内容を徹底的に理解し、記憶すること。
そして、基礎問題集を繰り返し周回し、確実に正解できる状態まで仕上げること。
勉強時間の8割を基礎に投下する覚悟があれば、応用問題にも自然と対応できるようになります。
基礎を制する者が、試験を制する。
これは、どんな試験にも共通する定跡です。
効率のよい勉強法を知る
最後に意識したいのは、「効率のよい勉強法を知ること」です。
どれだけ良い教材を選び、基礎に時間を投下しても、勉強法そのものが非効率であれば、記憶は定着せず、成果も出にくくなります。
だからこそ、記憶の原理に沿った方法を知り、それを軸に据えることが重要です。
具体的には、「自己テスト学習」「分散学習」「インターリーブ学習」などが代表的な方法です。
これらは、脳の検索する力を鍛え、記憶の定着を促すことが科学的に証明されています。
こうした勉強法を知り、自身の勉強に取り入れていくことで、基礎の定着も加速するでしょう。
記憶のメカニズムに沿った効率的な勉強法は、「試験に合格するための勉強法」の中心テーマの一つです。
このシリーズでは、後ほどじっくりと掘り下げていきますので、ぜひ楽しみにしていてください。
- 教材選びは、合格者の実績と使いやすさを基準にする。
- 勉強時間の8割を基礎に投下することで、応用力も育つ。
- 記憶の定着には、科学的に裏付けられた勉強法が有効。
04 行動:試験日までに仕上げるための勉強計画を立てる

いよいよ行動ですね。
試験日までに、何をどう進めればいいか教えてください!
戦略の最後のステップは「行動」です。
診断によって試験の構造を知り、基本方針によって勉強の軸を定めたら、あとはその方針に従って、試験日までに必要な学力を仕上げていくだけです。
試験日は動かない:逆算思考で計画を立てる
ここで何より大切なのは、「試験日は絶対に動かない」という事実です。
どんなに忙しくても、どんなに準備が足りなくても、試験日は待ってくれません。
だからこそ、試験日から逆算して、必要な学力をいつまでに仕上げるかを明確にしておくことが、戦略の完成につながります。
試験勉強の4フェーズ:入門・基礎・応用・直前
試験勉強は、次の4つのフェーズに分けて考えると整理しやすくなります。
この4つのフェーズを意識することで、勉強計画にメリハリが生まれ、迷いなく行動できるようになります。
詳細なスケジュールの立て方や、各フェーズの目標設定については、別記事でじっくり考察していきます。
生活のリズムを整える:長い試験勉強の土台をつくる
最後にもうひとつ、行動において忘れてはならない視点が「生活のリズムを整えること」です。
試験勉強というのは、淡々と量を積み重ねていく、地味で長い道のりです。
無理なく毎日勉強できるように、脳のコンディションを整えていくことは、試験の結果を大きく左右するファクターになるでしょう。
特に重要なのは、睡眠・食事・運動といった基本的な生活習慣です。
睡眠時間を削って勉強時間を増やすというのは、かえって逆効果。
脳の働きが鈍り、記憶の定着も悪くなってしまいます。
それよりも、毎日決まった時間に起きて、決まった時間に勉強し、決まった時間に眠るというリズムを固めるほうが、長い受験勉強でははるかに有効です。
また、定期的な運動は、脳にとって一番の栄養になると言われています。
そんな規則正しい生活の中で、勉強を「習慣」として根づかせることが、合格への近道になります。
生活のリズムは、勉強のリズムでもあります。
まずは今日から、無理のないペースで生活を整えていきましょう。
勉強は、整った日常の中でこそ、静かに力を伸ばしていきます。
- 試験日は動かないため、逆算思考が必要になる。
- 勉強は「入門・基礎・応用・直前」の4フェーズで整理できる。
- 規則正しい生活リズムが、勉強の土台になる。
灯さんノート:試験勉強の戦略まとめ

ここまで読んでくださってありがとうございます。
試験勉強の戦略、少しずつ見えてきましたね。
最後に、ポイントをまとめておきます。
このノートを見返しながら、少しずつ自分の戦略を形にしていきましょう!
- 戦略とは:「目標達成に向けた道筋」であり、診断・方針・行動の3要素で構成される。
- 診断とは:試験の構造を知ること。受験案内・過去問・体験記が有効。
- 基本方針とは:勉強の軸を定めること。教材選び・基礎への集中・効率的な勉強法が鍵。
- 行動とは:逆算思考で計画を立て、生活リズムを整えながら勉強を習慣化すること。
まとめ:戦略とは歩きながら描く地図である
今回は、試験勉強の戦略について考察してきました。
最後にもうひとつ、とても大切なことがあります。
それは、戦略というのは適宜軌道修正しながら完成するものだということです。
例えば、学習が進み、過去問がより理解できるようになれば、より詳細な過去問分析ができるようになるでしょう。
それに応じて、戦略の解像度も上がっていきます。
こうして戦略は、歩みとともに進化していくのです。

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