
基礎が大事ってよく聞くけど、難しい問題を解けるようになるにはどうすればいいの?
試験勉強には、大きく分けて「入門」「基礎」「応用」「直前」という4つのフェーズがあります。
このうち試験勉強の本丸は「基礎」です。
はっきり言って、試験勉強の8割の時間は基礎の完成に費やして構いません。
むしろ基礎に8割を費やしたほうが試験に合格できます。
基礎というのは、すべての理解と応用の土台です。
これから勉強を始める人はもちろん、努力しているのに成果が出ないと悩む人にも、本記事が基礎の価値をあらためて見直すきっかけになればと思います。
01 一般的な意味での「基礎の重要性」

基礎ってそんなに大事ですか?
「勉強には基礎が大事」というフレーズそのものは、誰しも耳にタコができるくらい聞いたことがあると思います。
けれども、なぜそれほど基礎が重要なのかを本当に理解している人は、意外と少ないかもしれません。
基礎というのは、単なる初歩ではなく、すべての学びの土台です。
たとえば以下のような理由から、勉強には基礎の完成が重要な意味を持ちます。
02 試験には「基礎」しか出題されない

これら以外にも基礎が大切な理由があるってこと?
とりわけ試験においては、「基礎が大事」と言われる特段の事情があります。
基礎が大事どころの話ではなく、試験の結果は基礎でしか決まらないのです。
試験の目的は「学力による選別」
そもそも試験をする目的とは何でしょうか?
もちろん合格者と不合格者を選別することは、大きな目的ではあるでしょう。
しかし、単純に合格者と不合格者を決めたいだけなら、別に抽選で決めてもいいわけです。
それをわざわざ学力考査で選別するのは、出題者が期待する学力を持った受験生だけを合格させ、そうでない受験生は不合格にしたいという基本思想があるからです。
そして、そうした学力の差をしっかり測ることのできる試験が、「フェアな試験」ということになります。
これは試験勉強を考えるうえで、非常に重要なポイントです。
マーク式試験が「基礎」に寄る理由
ところで、試験の採点にはコストがかかりますから、受験者の多い試験はマークシート式で施行されます。
記述式の出題がある試験であっても、まずはマークシート式の試験で足切りラインがあって、それをクリアした受験生の記述解答だけを採点するという形が一般的でしょう。
さて、こうしたマークシート式の試験で、受験生の全員が知らない論点を出題したらどうなるでしょうか?
マークシート式の試験は、完全に無作為でマークをしても、一定の正解者が出ることになります。
例えば5肢選択式なら、何もわからず丁半博打でマークしても、およそ20%は正解者が出ます。
これは「フェアな試験」と言えるでしょうか?
言うまでもなく、受験生の学力が結果にまったく反映されない、無意味な出題と言わざるを得ません。
つまり、受験者の全員が知らない論点を出題すればするほど、試験は丁半博打と同じになり、学力を基準に合格者を選別するという目的から逸脱してしまうことになってしまうわけです。
「基礎」こそが合格の条件
これが試験には「基礎」しか出題されない理由です。
学力考査がフェアであるためには、合格水準にある受験生なら当然知っているであろう論点だけが出題され、その正否で競い合う形でなければなりません。
つまり受験生の視点から言えば、合格水準にある受験生なら当然知っているであろう論点だけを完璧に押さえれば、必ず合格できるのです。
そして、この「合格水準にある受験生なら当然知っているであろう論点」こそ、試験における「基礎」なのです。
- 学力による選別は「フェア」でなければならない。
- マーク式試験では、全員が知らない論点は不適切。
- 合格水準にある受験生が当然知っている論点こそが「基礎」であり、それを完璧に押さえれば必ず合格できる。
03 「基礎」と「応用」と「逸脱」

そんなこと考えたこともありませんでした。
試験がただの「運ゲー」にならないように考えられているんですね。
ここまで読んで、「いやいや、試験には基礎だけじゃ解けない難しい問題もあるし、時にはまったく見たことのない論点が出題されることもあるよ!」と感じた方もいるかもしれません。
それは、賢明な受験生の反応です。
実際、試験問題の中には、見慣れない形式や初見の問いが含まれていることもあります。
しかし、それらもすべて出題者が「計算して」出題しているのです。
出題者の目的は「差をつけること」
先述したように、試験の目的とは合格者と不合格者を選別することです。
角度を変えれば、とにかく全員が合格しては困るのです。
そのためには、試験の結果に差をつけなければなりません。
もし受験生の全員が知っている論点ばかりを出題し、全員が満点を取ってしまったら、それはそれで意味のない試験になってしまいます。
だからこそ、出題者は「基礎」を下地にしながらも、変化球や釣り球を駆使して、何とか受験生に差をつけようと目論んでいます。
結果として、いわゆる難関と言われる試験では、教科書に書いてある基礎的な内容が、そのままの形で出題されることはほとんどありません。
試験問題は三層構造でできている
ここで、試験問題の構造を整理してみましょう。
このうち、受験生が解かなくてはならないのは「基礎」と「応用」です。
「逸脱」は見抜く力を測る問い
それなら「逸脱」は何のために出題されるのでしょうか?
それは、「基礎でないことを知っているか」を測るためです。
基礎が怪しい受験生は、手を出してはいけない「逸脱」を見抜くことができません。
その結果、選択問題の正誤判定がブレたり、解いてはいけない設問に試験時間を費やしてしまったりして、不利な戦いを強いられます。
つまり、「逸脱」を見抜けるかどうかも、学力の一部なのです。
これなら適正な学力考査と言えますし、それこそが出題者の狙いなのです。
- 難問も、出題者が差をつけるために計算して出している。
- 試験問題は「基礎・応用・逸脱」の三層でできている。
- 「逸脱」を見抜ける力も、学力の一部である。
04 難しい問題が解けない理由は「基礎の未完成」

「知らない問題を出すなんてずるい」と思っていました…
さて、ここまで読んでくださった方はお気づきでしょうか。
難しい問題、すなわち「応用」も「逸脱」も、すべて「基礎」が基準になっているのです。
基礎となる知識や理解を前提として、それを応用して得点に結びつけたり、基礎からの逸脱を見抜く力が求められる。
つまり、難問に対応する力もまた、基礎の完成度に依存しているのです。
「応用が解けない」は「基礎が未完成」のサイン
冒頭の問い「基礎が大事ってよく聞くけど、難しい問題を解けるようになるにはどうすればいいの?」の答えも、ここで明らかになります。
難しい問題が解けない理由は、「基礎が未完成だから」です。
これは、才能やセンスの問題ではありません。
基礎がしっかりしていれば、応用は“つながって見える”ようになるのです。
「基礎は解けるけど応用は無理」は本当か?
よく聞く言葉に、「基礎は解けるけど、応用になると解けない」というものがあります。
しかし、その多くは「基礎がなんとなく解ける」だけで、「基礎が完璧に仕上がっていないから応用できない」というのが実態です。
基礎が“わかったつもり”になっていると、応用は“未知の問い”に見えてしまいます。
そして、未知の問いに対しては、人は思考を止めてしまうのです。
「基礎=簡単」「応用=難しい」は大きな誤解
多くの人が「基礎=簡単な問題」「応用=難しい問題」と考えているかもしれません。
これは、学校の教科書やワークの構成によって無意識に作られた誤解です。
多くのテキストが、単純な問題群を「基礎練習」、複雑な問題群を「応用問題」としているため、そう思ってしまうのも無理はありません。
しかし、学校で少し複雑な問題を解く本当の目的は、「基礎が十分ではないことに気づくため」です。
本当に難しいのは、「基礎を完璧に仕上げること」なのです。
- 難問が解けないのは、基礎が未完成だから。
- 応用も逸脱も、すべて「基礎」が前提になっている。
- 基礎が仕上がれば、応用は“つながって見える”。
灯さんノート:基礎の重要性まとめ

ここまで読んでくださってありがとうございます。
どうして基礎が重要なのか、だんだんわかってきましたね。
最後に、試験勉強の本質をまとめておきます。
自分の勉強に取り入れるときは、ここを意識してみてください!
- 試験勉強のほとんどは「基礎」をしっかり身につける時間でいい。
- 試験の問題は「基礎・応用・逸脱」の3つに分かれている。
- 難しい問題が解けないのは、基礎がまだ足りないサイン。
- 「基礎=簡単」は大間違い。本当に難しいのは、基礎を完璧にすること。
まとめ:試験に合格するための最短ルートは「基礎の完成」
今回は、基礎の重要性について考察してきました。
繰り返しになりますが、試験勉強は「基礎が8割」です。
ありふれた教科書に、当たり前に書いてある基礎的な内容を、人に教えることができるくらい完璧に仕上げましょう。
基礎が本当の意味で完璧なら、それを応用することは、少し練習すればできるようになるはずです。

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