「計画を立てるのが苦手です。勉強計画はどう立てたらいいの?」
勉強計画とは、いわば戦略の総仕上げです。
試験を分析して合格に必要なことを見極め、必要な教材を選んで勉強の方向性を決めたら、勉強計画を立てて行動を組織します。
試験の難易度が上がるほど、合格に必要な勉強量は増えるので、効率よく勉強していくためには、しっかりと計画を立てることが欠かせません。
勉強計画の基本的な考え方は、ゴールから逆算して全体計画を立て、それを中期計画に分け、さらに短期計画に落とし込んでいくことです。
今回の記事を読めば、誰でも上手に勉強計画を立てることができるようになるでしょう。
それでは、さっそく始めていきましょう。
1. 勉強計画における逆算思考とは
勉強計画を考える出発点は、試験日は絶対に動かないという事実です。
どんなに忙しくても、どんなに準備が足りなくても、試験日は待ってくれません。
そして、合格に必要な学力水準もまた、変わることはありません。
どんなに勉強量が膨大でも、忙しくて勉強する時間が足りなくても、合格に必要な学力水準に届かなければ不合格になるだけです。
自分が試験に合わせるしかないのです。
限られた時間の中で、最大限の実力をつけるためには、計画を立てて効率よく勉強するしかありません。
その計画の軸となるのが「逆算思考」です。
勉強計画における逆算思考とは、試験日から逆に時間をたどり、必要な学力に到達するための学習内容と進度を具体的に設計することです。

自分が試験に合わせる!
2. 試験勉強の4フェーズ
試験勉強の全体像は、ゴールから逆算して4つのフェーズに分けて考えると、整理しやすくなります。
それぞれのフェーズには、目的と役割があります。
ここでは、本試験というゴールから、直前期←応用期←基礎期←入門期と、逆にたどる形で見ていきましょう。
直前期:丸暗記で詰め込む最終調整
試験直前は、理解ではなく「一夜漬け」のフェーズ。
どんなに十分な勉強をしても、すべての論点を完全に理解するというのはおそらく不可能です。
どんな人でも無理やり丸暗記しなければならない知識というのは残ります。
この時期に備えて、暗記すべき知識をリストアップしておくと安心です。
応用期:試験に強くなる技術を磨く
模試が本格的に始まる頃から直前期までが「応用期」です。
この時期は、模試や予想問題で初見の問題に取り組みながら、合格に直結する実戦力を鍛えていきます。
ただし、応用力は基礎力があってこそ身につくもの。
このフェーズに入る前に、各科目の基礎は一通り完成させておく必要があります。
基礎期:知識と理解を積み上げる本丸
基礎的な学力は、過去問を解き、教科書を読み、問題集で復習する「アウトインアウト周回」で、らせんを描くように伸びていきます。
記憶と理解を深めながら、各科目の土台を築いていきましょう。
この時期は、模試が始まるまでにどれだけ周回できるかが鍵。
試験勉強の中心となるフェーズです。
入門期:試験に慣れる助走期間
資格試験の場合、多くの受験生はゼロからのスタートになるはずです。
まずは過去問を読んで、試験の雰囲気をつかむところから始めましょう。
このフェーズでは、勉強の方向性を見極め、教材を選び、学習環境を整えることが中心になります。
いわば「試験勉強の準備期間」です。

4フェーズに分けると、一気に見通しが良くなります。
3. 逆算思考で全体計画を立てる
試験勉強の4フェーズが整理できたら、次はそれぞれのフェーズの「目標」「教材」「行動」「期限」を考えていきましょう。
これが、逆算思考による全体計画の設計です。
全体計画の設計例
例えば、全体計画は次のようになります。
フェーズ | 目標 | 教材 | 行動 | 期限 |
---|---|---|---|---|
入門期 | 試験の全体像をつかむ | 過去問(読む)、教科書の目次 | 試験の言語に慣れる/教材選定/環境整備 | スタート~1か月 |
基礎期 | 各科目の土台を築く | 過去問、教科書、基礎問題集 | アウトインアウト周回 | 模試開始まで |
応用期 | 実戦力を鍛える | 模試、予想問題、応用問題集 | 初見問題に挑戦/模試復習/弱点補強 | 模試~試験1か月前 |
直前期 | 得点力の最終調整 | 暗記カード、模試復習、要点集 | 暗記/コンディション調整 | 試験1か月前~当日 |
この表を参考に、みなさんも実際に試験勉強の全体計画をExcelやスプレッドシートで作ってみてください。

全体計画を作るまでが最初のステージ。
4. 全体計画を日々の勉強に落とし込む
さて、逆算思考で描いた全体計画は、まだ「設計図」の段階です。
それを「実際に動く仕組み」に変えるには、時間軸に沿って細かく分解し、日々の行動に落とし込む必要があります。
ここでは、月→週→日と、3つのステップで実際の行動につなげる方法を紹介します。
ステップ1:月別計画(中期目標)
例:「今は基礎フェーズだから、今月は民法のアウトインアウト周回を1周する」
目的:フェーズの目標を月単位で達成できるように設計
設計ポイント:「何を終わらせるか」「どの教材を使うか」「どの順番で進めるか」を決める
ステップ2:週別ミッション(具体的な進行)
例:「今週は総則から担保物権まで終わらせる」
目的:月の目標を4分割して、週ごとのミッションに落とし込む
設計ポイント:週のはじめに「今週のミッション」を書き出す
ステップ3:日別タスク(行動の最小単位)
例:「今日のタスクは総則の代理と時効」
目的:具体的な行動にまで落とし込むことで、迷いなく机に向かえる
設計ポイント:「何をやるか」「どこまでやるか」「どれくらい時間をかけるか」を決める

こう考えると、全体計画と日々の勉強が連動して、効率よくゴールに向かうことができるようになりますね。
5. 勉強計画はなぜ破綻するのか
勉強計画を立てること自体は、それほど難しいものではありません。
誰でも一度は、ノートや手帳に計画を書き出した経験があるはずです。
けれど実際には「計画は立てたけど、うまくいかずに挫折した」という苦い経験を持つ人が多いのではないでしょうか。
だからこそ、「勉強計画を立てるのが苦手だ」と感じる人が増えてしまうのです。
では、どうすれば破綻しにくい計画になるのでしょうか。
ここでは実践的なヒントを3つ紹介します。
ぜひ自分の勉強計画に取り入れてみてください。
時間ベースではなくタスクベースで計画を立てる
「○時間勉強する」ではなく、「○問解く」「X単元を終わらせる」といったタスクベースで目標を立てると、「早く終わらせて自由時間にしよう」というモチベーションにつながります。
ダラダラ勉強していても時間は流れますが、タスクは達成感として残ります。
時間ベースは苦痛になりがちですが、タスクベースは前向きな推進力になります。
計画にバッファを組み込んでおく
予定通りに進まない日もあるのが現実です。
あらかじめ余白を設けておくことで、急な予定変更にも柔軟に対応できます。
たとえば「2日詰め込んだら1日軽めにする」といった設計は、三日坊主対策にも有効です。
計画に「遊び」を持たせることで、継続のしやすさがぐっと高まります。
計画の期限だけは死守する
勉強計画が破綻する最大の原因は、期限が守れず、勉強そのものを投げ出してしまうこと。
勉強計画は「勉強の仕組み化」を具体的に行うための方法ですが、期限を守ることが最低限できたうえで、初めて仕組みは機能します。
期限だけは何が何でも死守するように心がけましょう。
もし期限が守れなかった場合は、原因を特定し、勉強計画を修正して再スタートする。
それが、勉強を続ける力になります。

計画に「遊び」があれば、期限も死守しやすくなりますよね。
まとめ:勉強計画は完走してこそ意味がある
今回は、勉強計画の立て方について考察してきました。
最後にもう一つ。
多くの受験生はおそらく勉強計画を立てています。
しかし、それを完走できる受験生はほとんどいません。
だからこそ、計画を完走すること自体が、すでに合格への大きなアドバンテージなのです。
しっかりとした戦略に裏打ちされた計画なら、そう間違った方向には進まないはずです。
あとは完走を目指しましょう。
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