
やる気が出ない、めんどくさい、できることならさぼりたい…
長い試験勉強の中で、こうした感情が生まれるのは当たり前のことです。
しかし、結果を出す受験生というのは、そうした感情に振り回されることなく、「仕組み」によって行動を継続していきます。
勉強を続ける人は、特別に意志が強いわけではありません。
続けられる仕組みを持っているのです。
習慣化の3原則のひとつ「小さく始める」は、意志の力に頼らず、自然に勉強を始めるための鍵。
本記事では、この原則をもとに、勉強のやる気スイッチをONにする仕組みを考察していきます。
「明日から本気出す」が口癖になっている人は、ぜひ参考にしてみてください。
01 チャンクダウン:困難は分割せよ

そもそも勉強しなきゃいけないことが
多すぎるんです…
受験勉強には、やらなければならないことが山ほどあります。
その膨大な量を前にすると、やる気が削がれ、心が折れてしまうのも無理はありません。
しかし、どんなに大きな目標も、それを構成するのは小さな部分の積み重ねです。
「憲法を覚える」「英語長文を読めるようになる」
そんな大きな目標も、実際は1ページ、1行、1語からできています。
まずは、目の前の課題を小さな単位に刻んでみましょう。
困難は分割することで「始められる形」に変わります。
勉強の目標を細分化して、小さな単位にする。
それは、心理的ハードルを下げるだけでなく、脳の「やる気スイッチ」を押すための準備でもあります。
人間の脳は、作業を始めることで少しずつ興奮状態に入り、やる気が後からついてくる性質があります。
この現象は「作業興奮」と呼ばれ、心理学者クレペリンによって提唱されました。
つまり、「やる気が出たら始める」のではなく、「始めたらやる気が出る」のです。
だからこそ、目標を小さく刻み、「とりあえず1問だけ」「まずは3分だけ」といった行動が、やる気を引き出す最短ルートになります。
チャンクダウンは、作業興奮を引き出すための「着火剤」なのです。
- 大きな目標も、小さな単位に分けることで「始められる形」に変えられる。
- 細分化は心理的ハードルを下げ、脳の「やる気スイッチ」を押す準備になる。
- 「作業興奮」によって、始めることでやる気が後から湧いてくる。
02 スモールステップ・エンジン

でもでも。
毎日の勉強量を考えると、うんざりします…
難関試験ともなれば、合格に必要な勉強量は膨大です。
それに比例して、1日にこなさなければならないノルマも膨大でしょう。
「今日は7科目」「今日は100ページ」「今日は150問」。
こうした数字が並ぶほど、気持ちは重くなります。
そんなときこそ、ノルマを小さなタスクに分割してみましょう。
「7科目の1科目」「100ページの10ページ」「150問の10問」。
ここまで刻めば、勉強を始める心理的ハードルはぐっと下がります。
そして始めてしまえば、作業興奮を呼び込み、次の行動につながります。
やるべきことが多すぎて動けなくなったときは、小さな部分に細分化することを心がけましょう。
さて、こうしたチャンクダウンを仕組化したのが、勉強の「スモールステップ・エンジン」です。
朝、その日の勉強目標を細かいタスクに分けて、大型のポストイットにチェックリストを作ります。
そしてタスクをクリアするたびに消していけば、達成感とともに勉強が進みます。
そして、その日のチェックリストを手帳に貼っておけば、継続意欲を高める「勉強記録」になります。
勉強を仕組みにして習慣にする。
それは、こうした小さな工夫の積み重ねなのです。
- ノルマが重く感じるときは、小さなタスクに分割することで心理的ハードルを下げられる。
- 細分化したタスクをチェックリスト化することで、達成感と作業興奮が連鎖する。
- チェックリストを記録に残すことで、継続意欲を高める仕組みになる。
03 ポモドーロ・テクニック

他にも「すぐやる仕組み」ってありますか?
時間もまた、チャンクダウンの対象になります。
勉強時間そのものを小さく刻むことで、心理的な負担を減らし、行動のハードルを下げることができるのです。
そこで活用したいのが「ポモドーロ・テクニック」。
これは、イタリアの起業家フランチェスコ・シリロが提唱した時間管理術です。
ポモドーロとはイタリア語でトマトのこと。
彼がトマト型のキッチンタイマーを使ってタイムマネジメントをしていたことから、そう名付けられました。
実践方法はシンプルで、25分の作業時間と5分の短い休憩を1セットとして交互に繰り返し、4セット終えたところで15~30分の長い休憩をとります。
こうすることで、高い集中力を長時間維持でき、生産性が向上するとされています。
さて、このポモドーロ・テクニックが優れているのは、「やりたくないことは小さく始める」という基本に適っているからです。
2時間勉強しようと思えば憂鬱でも、「25分+5分」を4セットと考えれば、心理的ハードルはぐっと下がります。
どうしても気乗りしないなら、「今日は最初の1セットだけ我慢してやってみよう」と、小さく始めることができます。
実際にやってみると、25分というのは意外にあっさり終わります。
最初の1セットだけで終わっても、何もしないよりは達成感があります。
そして、始めてみたら調子が出てきて、思っていたより続けられることもよくあります。
- 勉強時間を小さく刻むことで、心理的負担を減らし行動のハードルを下げられる。
- ポモドーロ・テクニックは「25分+5分」のセットで集中力と生産性を高める時間管理法。
- 「最初の1セットだけ」と小さく始めることで、やる気と達成感を引き出せる。
04 やる気スイッチ(物理)

ちょっとやりかたがわかってきたかも!
勉強を習慣にするには「始める儀式(ルーティーン)」を持つことも効果的です。
これは、毎日同じ動作や同じ手順で勉強を始めることで、脳に「これから集中する時間だ」と知らせる仕組みです。
たとえば:
勉強の最初に、こうした物理的なスイッチを押す行為をルーティーンにするのも有効です。
手を動かすことで、脳が「これから始める」と認識し、自然と集中モードに入っていきます。
そもそもポモドーロ・テクニックも、トマト型のキッチンタイマーを使った「物理スイッチ」の工夫から生まれたもの。
こんな小さな動作でも、やる気の着火剤になるものです。
こうした小さな動作を「勉強を始める儀式」として固定しておくと、やる気がなくても自然と勉強モードに入っていけます。
- 毎日同じ動作で勉強を始める「儀式(ルーチン)」は、脳に集中の合図を送る仕組みになる。
- タイマーやライトなどの物理的スイッチを使うことで、自然と勉強モードに入りやすくなる。
- 小さな動作でも「やる気の着火剤」になり、習慣化の助けになる。
灯さんノート:すぐやる仕組みまとめ

ここまで読んでくださってありがとうございます。
やる気が出ない日でも勉強を始められる仕組み、少しずつ見えてきましたね。
最後に、この記事のポイントをまとめておきます。
自分の勉強に取り入れるときは、ここを意識してみてください!
- 意志ではなく「仕組み」で勉強を続けることができる。
- 目標や時間を小さく刻むことで、始めるハードルが下がる。
- 「始めればやる気が出る」脳の性質を活かすのがコツ。
- 物理スイッチやルーチンを使えば、自然と集中モードに入れる。
まとめ:終わらせることより始めることに力を注ぐ
今回は、すぐやる仕組みについて考察してきました。
ある研究では、子どもたちを2つのグループに分け、Aには「この課題を全部終わらせよう」と指示し、Bには「この課題を少しずつやってみよう」と伝えたところ、Bの方がAよりも20%多く期限内に課題をやり遂げたそうです。
この実験が示しているのは、「終わらせること」よりも「始めること」に意識を向けた方が、行動につながりやすいということ。
「始めは全体の半分である」と、古代ギリシャの哲学者プラトンも言っています。
やる気が出ないときこそ、始めるための小さな行動に意識を向けてみましょう。

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